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特 別 清 算 と は
商法上の制度で、解散後の株式会社が対象となる。目的は破産の予防にあり、清算中の会社が破産状態にならないで清算を行うための手段として採られる。申立は、債権者か株主、清算人あるいは監督官庁の通告でなされる。適用事例は多くないが、内容の骨子は次の通りである。
(1)
開始原因の存在
清算の遂行に著しい支障をきたす事情であると認められる場合、及び会社に債務超過の疑いがあると認められる場合(商431− I )。
(2)
開始決定前の措置
1)
会社の財産管理処分権は申立により影響を受けない。
2)
イ)
破産、和議、企業担保権の実行手続の中止を命ずることができる(商433、383− I )。
ロ)
強制執行・仮差押・仮処分の中止命令が出せるかについては積極、消極説がある(実務上は積極説)。
3)
会社財産に対する保全処分、株主名義書替禁止、取締役等の責任に基づく損害賠償請求権によるそれらのものの財産に対する保全処分を行うことができる(商432、454 1)2)6))。
(3)
開始決定の効力
1)
原則として財産の管理処分権び影響はない。但し、一定の行為につき債権者集会の決議又は監査委員の同意乃至は裁判所の許可を必要とする(商445)。
2)
特別清算債権なきものは確立しない。
3)
破産、和議及び企業担保権実行の申立、強制執行、仮差押、仮処分の執行の申立は、いずれも禁止され、すでに保留中のそれらの手続は中止する(商433、383− I )。開始決定が確定したときは中止命令によって中止しまたは法律上当然中止したそれらの手続は特別清算に対する関係ではその効力を失う(商433、383− III )。競売法による競売手続の中止を命ずることができる(商433、384)。
4)
イ)
会社の業務及び財産の状況について検査命令を出し、検査役を選任することができる(商452)。
ロ)
検査役の報告により各種の処分、特に取締役等の責任に基づく損害賠償請求権の査定を行うことができる(商454)。
(4)
財産の管理および換価
1)
特別清算人が行う。普通清算人がそのまま特別清算人になり清算人会の決議によって代表清算人が行う(商430、260)。
裁判所は特別清算人を解任し又は選任することができる(商435)。
商法445条所定の行為については、債権者集会又は債権者集会において選任された監査委員の同意を要し、監査委員がなく急迫なる場合は裁判所の許可を得て行う。
(5)
債権届とその調査
1)
一般清算手続同様、会社に対して債権届をする。会社に知れたる債権者を除斥することはできないが、そうでない債権者は所定期間内に申し出ないと除斥される。
2)
会社が債権調査を行うも、債権確定は効力はない。
3)
債権申出の期間中は弁済することはできないが少額債権及び担保債権、その他これを弁済しても他の債権者を害するおそれのない債権については裁判所の許可を得て弁済することが認められる(商423)。
(6)
清算の遂行
1)
積極財産が残る場合は法定の制限(商438)に従い順次債務を弁済し最後に残余財産を分離(商435)すればよい。 2)
同意弁済による特別清算の遂行が可能であればそれによってもよい。
3)
協定による特別清算の遂行
イ)
清算人は監査委員の意見をきいたうえ債権者集会に協定の申出をすることができる(商447)。
ロ)
協定案は債権者平等であることを要するが、必ずしも計算的平等の原則に従う必要はない(商448)。
ハ)
清算人から直接債権者集会に申出るが、実務上は予め裁判所の監督に服する。
ニ)
議決権を行使できる出席債権者の過半数でかつ議決権を行使できる総債権額の4分の3以上に当るものの同意により成立し、裁判所の認可により効力が生じる。
ホ)
認可決定確定により総債権者全員のため、かつ全員に効力を生じ
(7)
手続終結
開始命令の取消決定確定(非133の15、135の34)
終結決定の確定(商456− I 、399)
更生手続の開始決定(更67−1)
破産の宣告決定(商455、破1)